導入事例(ご利用例)
夫婦で取り組んだ永代供養墓の新設と、ご縁を育む記憶を記録する仕組み
正福院 (しょうふくいん)
真言宗 東京都
- ご利用期間
- (2024年5月現在)
- ご利用プラン
- 約5年(2020年導入)
- ご利用人数
- 4名(住職夫妻・副住職夫妻 )
「クラウド管理 寺務台帳(以下、寺務台帳)」導入までの経緯、導入の決め手、使っていただいた印象や感想など、実際に導入いただいた寺院様にお話を伺いました。
1. 先代が遺した「檀信徒の覚書」とデジタル化
加久保住職が正福院専任僧侶になられた際、先代から受け継いだ「覚書」が大きな支えになったそうですね。
はい。正福院を引き継いだ際、先代が残してくれた「檀徒覚書」のノートには本当に助けられました。そこには単なる名簿以上の、各家の家系図や家族構成、さらには「このお宅にはこういう事情がある」といった細かな背景が記されていたんです。
特に窓口を担う妻にとっては、この覚書が命綱でした。お参りに来られた檀信徒様に対し、妻が「知っていて当たり前」の温度感で対応できたのは、間違いなくこのノートがあったからです。もし文字だけの名簿しかなかったら、到底ここまで丁寧な応対はできなかったでしょう。
先代の「記憶」が「記録」として残されていることの重要性を、身をもって実感した原体験でした。
寺院のデジタル化への取り組みは、どのようなステップで進められたのでしょうか?
いきなりすべてを変えるのではなく、まずは1年かけてお寺の現状把握と土台作りに専念しました。最初に取り組んだのは、バラバラだった名簿と過去帳のデジタル化とホームページの作成です。
この期間は、お寺の状況を整理すると同時に、檀信徒の皆様お一人おひとりと改めて顔を合わせる大切な時間でもありました。情報を整理していく中で、お寺がこれから直面するであろう課題――つまり、檀家数や供養の形の変化が「見える化」されていったのです。
この1年があったからこそ、次の一手である永代供養墓の新設に確信を持って踏み出せました。

2.夫婦で取り組んだ永代供養墓の新設
永代供養墓の新設にあたっては、こだわりを持って取り組まれたと伺いました。
永代供養墓を設ける際、小さなお寺ですから私たちは業者に丸投げすることはしませんでした。妻と何度も話し合い、外部の寺院経営に詳しい顧問や石材店の方々と机を囲んで、理想の供養の形を模索し続けました。
正福院には広い土地も、豪華な施設もありません。だからこそ、「供養とは何か」という本質に向き合い、私たちの想いを形にしたかったんです。その結果、ありがたいことにご契約は想定のスピードを上回りあっという間に100件を超えました。しかし、ご縁が広がるほどに、「分散された紙の管理」では、どなたがどの区画で、どのような相談をされたかを瞬時に把握することに限界を感じるようになりました。

そこで導入されたクラウド管理『寺務台帳』は、日々の応対をどう変えましたか?
単なる名簿管理ではなく、お寺の本当の資産である「ご縁(関係資本)」を育むための道具として活用しています。導入後は、永代供養墓にご契約された方はもちろん古くからの檀家も分け隔てなく、クラウド管理寺務台帳に記録するようにしました。
これには責任役員も賛成してくれて、お寺との付き合いを檀家に頼るのではなく、寺として継承してくれることで次の世代への継承が檀家の家だけの責任にならない点が良いということでした。
また、永代供養墓をきっかけに来られる方の多くは、仏事に明るくない方々です。だからこそ、問い合わせの段階でクラウド管理寺務台帳に記録しておくことが大切だと感じています。
檀家も永代供養墓きっかけの方も同様に、現代は、墓じまい、死後事務委任と遺言など複雑な事情にもお寺は向き合っていくことが自然な時代だと実感しています。その中で、長い時間をかけて交流し、関係性を育み、大切な約束を守っていかなければいけない。
その点において、クラウド管理寺務台帳に記録しておけることは次の住職夫妻にとってはもちろんですが、私たちも安心です。
「前回はこんなお困りごとを話されていたな」という情報を、クラウド管理寺務台帳で夫婦で確認してからお会いする。この流れが檀家はもちろん、新しい方との心の距離を縮めてくれました。
次世代への継承、特に副住職ご夫妻への引き継ぎについてはどのようにお考えですか?
永代供養墓をはじめ新しいことに取り組むにあたり、一番の懸念は、次の世代への継承でした。
檀家の情報だけではなく、永代供養墓やご葬儀の導師依頼などをきっかけにご縁をいただいた方々についても次の世代にどのように引き継げるのか?が課題でした。
私たちが先代のノートに助けられたように、今度は私たちが、次世代に「安心のバトン」を渡す番だと思っています。
特に妻が心配していたのは、現在は大本山に勤め、子育てでも忙しい息子(副住職)夫妻への引き継ぎでした。将来、彼らが本格的にお寺を担う際、膨大な紙の資料を探し回る苦労はさせたくありませんし、なにより檀信徒の皆様に迷惑をかけるわけにはいかない。
その点、クラウド管理寺務台帳があれば、どこを確認すれば良いか一目瞭然です。私たちのお寺では、お墓参りやお寺に来られた方と玄関の上框(あがりがまち)でお茶をお出ししながら交わす何気ないお話が、信頼関係の鍵になっています。
そこで気づいたことを都度、子どもたちと共有することは難しいですが、クラウド管理寺務台帳に記録することで自分たちが大切に育んできた「関係資本」を次代へ引き継げる。その基盤ができたことが、私たち夫婦にとって大きな安心です。

お寺の今後の展望について教えてください。
小さなお寺ですが、「このお寺があってよかった」という存在であれるよう檀信徒・新たな縁をいただいた方とできるだけ関係性を深めることはこれまでと変わりません。
ただ、5年で社会の弔いに向ける考え方が変わる時代だと感じています。
責任役員からもこういう時代なので選択肢をたくさん用意して、寺院が柔軟に対応できることが大切だという意見もいただいています。
新たな取り組みに挑戦しながら、その次代の弔いをふくめた不安を受け止めていける寺院でありたいと思います。
そのためにも、現状を把握し、課題を認識したうえでなければ新たなことには正しく取り組めません。その意味でクラウド管理寺務台帳があれば現状把握、課題認識、新たな取り組みの管理も一貫して行えますので、安心して挑戦していけると考えています。
編集後記
正福院様は、先代の「覚書」の精神が、クラウド管理寺務台帳よって進化・継承されている寺院です。ご夫婦二人三脚で築き上げた「関係性」と「記録」という財産は、100年後の正福院も「人を大切にできる」寺院としての礎となっていくのだろうなと想像できることが支援させていただいている私達にとっても嬉しいことです。
取材に協力いただいた寺院
正福院
〒111-0041 東京都台東区元浅草4丁目7-21
東京都台東区浅草地域にて1645年から続く真言宗智山派の寺院。住職の深い供養への洞察と、奥様の細やかな気遣いが、永代供養墓という新しい形でも多くの信頼を集めている。
今回お話を聞いた方
加久保住職夫妻(かくぼじゅうしょくふさい)さん
正福院住職夫妻
平成28年より正福院を専任で守る。夫婦二人三脚で永代供養墓を成功させ、「正福院と出会ってよかった」という方を増やし、次世代が困らないお寺づくりを実践している。
